校長挨拶

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 沖縄県立浦添高等学校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。令和5年4月に着任いたしました、校長の 城間 敏生( しろま としお )と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 昭和40年(1965年)に設立された本校は、今年で59年目を迎えます。私も昭和58年に本校を卒業、教師になってからは平成5年から7年間本校で勤めました。その間、現在の制服へのモデルチェンジを手掛けたり、30周年事業に携わったりと、母校への思いは大きなものがあります。

 さて、昨年まで続いた新型コロナウイルス感染症の影響は、子供たちに学校行事や部活動の制限、修学旅行の中止など、様々な機会を喪失させました。また一方、一人一台端末の推進、ICTの活用、オンライン、オンデマンド授業等、新たな教育の方法も生み出し、新しい価値観への順応、予想外の状況を克服する力や逆転の発想を生かす術など、新時代に必要な資質・能力を手に入れる機会も与えられてきました。

 先日、上田情報ビジネス専門学校副校長、比田井和孝氏の講演会に参加した時、比田井先生が「何のために学ぶのか」という問いについて、中国戦国時代末の思想家で儒学者の「荀子(じゅんし)」の言葉で「なぜ勉強が必要か」について説明してくれました。

「夫(そ)れ学は通(つう)の為に非ざるなり。窮して困(くる)しまず、憂(うれ)えて意(こころ)衰えざるが為なり。禍福(かふく)終始を知って惑わざるが為なり」「学ぶ」ことの本当の意味は、立身出世や就職のためではなく、お金や物がなくても苦しまず、どんな悩み事や心配ごとがあってもへこたれず心折れることなく、何が不幸なことで何が幸せなことなのか、目の前で起こる出来事は、どのように始まってどのように終わるのか、どのように終われば次はどのように始まるのかという、禍福終始を知って、人生の複雑な問題に直面したとしても惑わないためである。と説明してくれました。

  また、上田情報ビジネス専門学校で講演を行った作家:喜多川 泰氏は、沢山勉強をしたからと言って、不安や問題がなくなるわけではなく、むしろ勉強すればするほど、より大きな問題や壁に直面する。人生というのは、多かれ少なかれ、良いこともそうじゃないことも繰り返しながら、それを克服していくものである。と断言されたそうです。私もそう思います。

 だから「学ぶ」ことは、いい大学に入ることでもなく、いい会社に就職することでもなく、沢山の問題や壁を乗り越えながら、最後に「いろいろあったけど、いい人生だった」、「幸せだったなぁ」と言えるためにやっていることなのです。<br> 最後に、もう一つ喜多川 泰氏の講演から、「皆さんは、今ここに至るまで常に多くの選択をしながら、生きてきたと思います。絶えず『何がベストな選択か』と思い悩み、自分を振り返り、親や先生のアドバイスを受けながら。」しかし、喜多川 泰氏は学生や一般の方々に向けて、こう続けられたといいます。

 「この世の中に『ベストな選択』なんて存在しません。存在するのは『選んだ道(選択)をベストにする一日があるだけです』」

 未知のウイルス感染症の脅威、世界を混乱に巻き込む戦争、混沌として先の見えない世界を生き抜くために、私は、今必要な考え方(あり方)をしっかりと身に付け、新しい時代を生き抜く人材の育成が社会にとって最も大切な使命だと考えています。
 浦添高校から、沖縄を日本を世界を救うリーダーが生まれることを信じて止みません。


令和5年 沖縄県立浦添高等学校校長 城間 敏生